1972|BASKETBALL
Blazerより前に、Nikeはプロバスケットボールのコートへ入っていた。
1972年。
Nikeはまだ、ランニングを中心に生まれつつある小さなスポーツブランドでした。
しかし、そのSwooshはすでに別の競技へ向かい始めています。
バスケットボール。
その最初期を記録する一足が、
Bruin Prototype。
現在では、1970年代のNike Basketballを代表するシューズとしてBlazerの方がはるかに有名です。
しかしNike公式資料をたどると、その前に一足が存在します。
Nikeによれば、Portland Trail Blazersの一部選手が最初に履いたのは、
1972年のBruin prototypes。
そしてNikeは、その選手たちをSwooshを着用した最初期のプロスポーツ選手として位置づけています。
Blazerだけを見ていると、この一歩が抜け落ちます。
だからSOLEVAULTでは、Bruin Prototypeを独立した一足として残します。
ランニングブランドのSwooshが、バスケットボールへ
Nike初期史を追っていくと、1972年という年に複数の開発が同時進行していたことが見えてきます。
No.003 Moon Shoeでは、ランニング。
No.004 Astrograbber Prototypeでは、人工芝とアメリカンフットボール。
そしてNo.005 Bruin Prototypeでは、
バスケットボール。
Nikeは一つの競技だけを見ていたわけではありません。
ランニングで始まった新しいブランドのSwooshが、プロバスケットボール選手の足元にも現れ始めます。
その舞台となったのが、Nikeと同じオレゴン州を本拠とする、
Portland Trail Blazers。
ここからNike Basketballの最初期の歴史が見えてきます。
Blazerより前だった
ここはNike初期バスケットボール史を整理するうえで重要です。
現在、1970年代Nike Basketballを象徴するモデルとして知られているのは、
Nike Blazer
でしょう。
しかしNike公式資料が示している順番は、その一足から始まりません。
まず、
1972|Bruin Prototypes
Portland Trail Blazersの一部選手が着用。
その後、
1972年12月|Nike Blazer
がコートへ登場します。
つまり、
Bruin Prototype
↓
Blazer
という順序を確認できます。
SOLEVAULTがNo.005としてBruin Prototypeを独立収蔵する最大の理由はここにあります。
有名なBlazerへ飛ばない。
その前に存在したNikeを残す。
BruinとBlazerは混同されやすい
Nike自身も、BruinとBlazerは似ているため混同されることがあると説明しています。
同じ初期Nike Basketball。
同じ1972年。
後年には、両モデルともレザーだけでなくスエード仕様が展開されていきます。
しかし、だからといって同じシューズではありません。
特に初期Nikeを写真だけで追う場合、
「古いNike BasketballだからBlazerだろう」
という判断は危険です。
SOLEVAULTでは、BruinとBlazerを分けます。
さらに、
1972年のBruin Prototype
と、
後に展開される製品としてのBruin
についても、資料上確認できる範囲を分けて扱います。
なぜ「Bruin」ではなく「Bruin Prototype」なのか
No.005で収蔵する対象を明確にしておきます。
今回保存するのは、後年知られるBruinというモデル全体ではありません。
Nike公式資料が明確に記録している、
“1972 Bruin prototypes”
です。
この「prototypes」を消してはいけません。
後年のBruinについて分かっている仕様を、そのまま1972年の試作個体へ戻してしまえば、実際には確認されていないシューズを作り上げることになります。
現在確認しているNike一次資料だけでは、1972年のBruin Prototypeについて、
正確なアッパー素材。
アウトソール素材。
製法。
カラー。
品番。
製作数。
販売価格。
具体的な個体差。
これらを完全には確定できません。
だから、推測では埋めません。
1972年にBruin Prototypeが存在した。
Portland Trail Blazersの一部選手がそれを履いた。
まず、確実に確認できるところを保存します。
誰が履いたのか
ここは、今後SOLEVAULTでさらに掘るべき重要な部分です。
Nike公式資料は、
“a couple members of the Portland Trail Blazers”
という形で、一部のPortland Trail Blazers選手がBruin Prototypeを履いたことを記録しています。
しかし、今回確認しているNike一次資料だけから、着用した全選手を個人名まで確定することはできません。
そのためNo.005では、
KNOWN WEARERS|Portland Trail Blazersの一部選手
までを確定情報とします。
インターネット上には特定選手の名前とBruinを結びつける記述もあります。
しかし、SOLEVAULTでは、それだけでARCHIVE DATAへ個人名を入れません。
選手名。
試合日。
対戦相手。
着用個体。
写真。
当時の記事や広告。
ここまで追える資料が見つかった段階で追加します。
分からない選手名を、有名選手の名前で埋めない。
これもSOLEVAULTのルールです。
「選手が履いた」と「試合で履いた」は分ける
もう一つ、細かいですが重要です。
Nike公式資料から確認できるのは、Portland Trail Blazersの一部選手が1972年Bruin prototypesをworeしたということです。
しかし、それだけから、
「公式戦の何月何日の試合で使用した」
「何試合で使用した」
「特定の選手が特定の個体を履いた」
とまでは確定できません。
したがってSOLEVAULTでは、
プロ選手による着用=CONFIRMED
と、
具体的な公式戦使用=現在未確認
を分けます。
わずかな違いに見えます。
しかし、こういう違いを曖昧にしないことが、資料庫として重要です。
Swooshがプロアスリートの足元へ
Bruin Prototypeの歴史的重要性は、シューズの構造だけではありません。
1972年当時、Swooshそのものが誕生してまだ間もない時期でした。
その新しいマークを付けたシューズを、プロスポーツ選手が履き始める。
Nike公式はPortland Trail Blazersの一部選手を、
プロスポーツでSwooshを着用した最初期の選手
として位置づけています。
現在では当たり前に見える、
Nike × Professional Athlete
という関係。
その非常に早い段階にBruin Prototypeが存在します。
だからNo.005は、単なる「Blazer以前の古いバスケットボールシューズ」ではありません。
Swooshがプロスポーツの現場へ入り始めたことを示す一足です。
そして1972年12月、Blazerがコートへ
Bruin Prototypeの次に現れる重要な一足が、
Nike Blazer。
Nike公式資料では、Blazerがコートへ登場した時期を、
1972年12月
としています。
ここはSOLEVAULTで特に大切にします。
後年の記事やショップの解説では、Blazerを「1973年」とする例も見られます。
しかしSOLEVAULTでは、Nike公式資料で確認できる1972年12月を基準にします。
そしてNo.005では、Blazerの詳しい話まで奪いません。
BlazerにはBlazerの収蔵ページがあります。
No.005が残すのは、
その直前にBruin Prototypeが存在していたこと。
Nike Basketballの歴史を、有名モデルだけでつながないためです。
WHY IT MATTERS|なぜ、この試作品を残すのか
Bruin Prototypeには、Moon Shoeのような有名なワッフルアイアンの逸話はありません。
Blazerのように、その後50年以上続く巨大な知名度もありません。
詳細な仕様すら、現在確認できる資料だけでは十分に分からない。
それでも残します。
なぜならBruin Prototypeを飛ばしてしまえば、
「Nike BasketballはBlazerから始まった」
ように見えてしまうからです。
実際には、その前にBruin Prototypeがあった。
Portland Trail Blazersの一部選手が履いた。
そして、その後にBlazerが登場した。
歴史を保存するということは、後から有名になった一足だけを選ぶことではありません。
完成品の前に存在した試作品まで残す。
そこまでやって初めて、1972年のNikeが見えてきます。
SOLEVAULT VIEW
No.001からNo.005まで並べると、Nike初期史が少しずつ立体的になってきます。
No.001|The Nike
最初の商品とSwoosh。
No.002|Early Waffle Prototype
ランニングにおける初期ワッフル実験。
No.003|Moon Shoe
ワッフル技術が小ロットの実験靴として形になった段階。
No.004|Astrograbber Prototype
人工芝という別の路面問題へ向かった試作。
そして、
No.005|Bruin Prototype
Swooshがプロバスケットボール選手の足元へ入り始めた段階。
ここまで来ると、Nikeの歴史が単純な「名作スニーカー年表」ではなかったことが分かります。
試す。
選手に履いてもらう。
問題を見る。
次へ進む。
その途中には、後世ではほとんど語られなくなった試作品があります。
Bruin Prototypeも、その一足です。
有名だから載せるのではない。
存在したから、記録する。
ARCHIVE DATA|アーカイブデータ
SOLEVAULT No.005
ARCHIVE NAME|収蔵名称: Bruin Prototype(ブルーイン・プロトタイプ)
YEAR|年代: 1972
ROOM|分類: BASKETBALL(バスケットボール)
TYPE|用途: Basketball Prototype(バスケットボール用プロトタイプ)
BRAND|ブランド: Nike
STATUS|製品状態: Prototype(試作品)
KNOWN WEARERS|確認された着用者: Portland Trail Blazers Players(ポートランド・トレイルブレイザーズの一部選手/個人名は今回確認したNike一次資料では未確定)
KNOWN GAME USE|具体的試合使用: 未確認
HISTORICAL SIGNIFICANCE|歴史的重要性: Among the Earliest Nike Shoes Worn by Professional Athletes(プロスポーツ選手が着用した最初期のNikeシューズの一つ)
RELATIONSHIP TO BLAZER|Blazerとの関係: Preceded the Blazer’s December 1972 Court Appearance(1972年12月のBlazer登場に先行)
FOLLOWING DEVELOPMENT|後続展開: Bruin / Blazer Era(Bruin/Blazerへ続くNike Basketball初期展開)
UPPER|アッパー: 1972年プロトタイプについて未確認
OUTSOLE|アウトソール: 1972年プロトタイプについて詳細未確認
CONSTRUCTION|製法: 未確認
COLOR|カラー: 未確認
MODEL NUMBER|品番: 未確認
ORIGINAL PRICE|当時価格: 未確認
PRODUCTION QUANTITY|製作数: 未確認
VARIATIONS|バリエーション: 1972年プロトタイプについて未確認
SURVIVING PROTOTYPE|現存試作個体: 今回確認した資料では未確認
COMMERCIAL STATUS|販売状態: Prototype Stage(1972年試作段階として確認。市販状況の詳細は未確認)
SOURCE STATUS|資料確認状況: CONFIRMED / LIMITED DOCUMENTATION(存在・Portland Trail Blazers選手による着用・Blazerへの先行関係はNike公式資料で確認/個体仕様は資料限定)
CURRENTLY CONFIRMED|現在確認できていること
Nike公式資料から、Portland Trail Blazersの一部選手が1972年のBruin prototypesを着用したことを確認できます。
またNikeは、その選手たちをSwooshを着用した最初期のプロスポーツ選手として位置づけています。
さらに、Bruin Prototypeに続いてBlazerが1972年12月にコートへ登場したこともNike公式資料から確認できます。
したがってSOLEVAULTでは、
1972 Bruin Prototype → 1972年12月 Blazer
という順序を記録します。
CURRENTLY UNCONFIRMED|現在確認できていないこと
現時点のSOLEVAULT調査では、1972年Bruin Prototypeについて、
着用した全選手の個人名、具体的な公式戦使用記録、正式品番、正確な製作数、アッパー素材、アウトソール素材、製法、カラー、重量、全バリエーション、当時価格、現存する試作個体の来歴
までは、今回確認したNike一次資料で確定できていません。
また、後年のBruinや復刻モデルで確認できる仕様を、1972年プロトタイプへ遡及適用しません。
PRIMARY SOURCES|主要資料
主要根拠は、Nike公式のBlazer史およびDepartment of Nike Archivesによる初期Nike Basketballの記録です。
そこから、
1972 Bruin prototypes
Portland Trail Blazersの一部選手による着用
プロスポーツでSwooshを着用した最初期の選手
Blazerの1972年12月登場
を確認します。
それ以外の個体仕様・選手名・試合使用などについては、今後、当時のNikeカタログ、広告、新聞・雑誌、写真資料などで追加調査します。
SOLEVAULT No.005|再収蔵完了。
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